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中国で推奨されている新型コロナウイルス予防対策 〜玉屏風散(ぎょくへいふうさん)〜

2020-03-04

日本ではまだまだ収束の目処が立たない新型コロナウイルス。

一方、中国の方ではようやくピークを過ぎ、また西洋医学・中医学ともに研究も徐々に進みつつあるとのことで感染力、死亡率なども少しずつ分かってきています。

また、中医学では有効率が90%以上とされる「清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)」という処方も考案されています。

※清肺排毒湯について↓↓
https://baike.baidu.com/item/清肺排毒汤/24326050

清肺排毒湯についても問い合わせがかなり増えてきておりますので、次回以降で解説していく予定です。

しかしながら、重要なことはこの「清肺排毒湯」はあくまで治療のための処方であり、予防には使用できない(適していない)ということです。

当然ながらまだ感染していない方にとって最も大切なことはあくまで”予防”です。

今回のブログでは、現在中国各地で推奨されている新型コロナウイルス予防のための漢方薬を紹介していきます。

※前回のブログで生薬燻蒸法によるウイルス感染予防に関して説明しておりますので気になる方はこちらもぜひご覧ください。

●蒼朮(そうじゅつ)の燻蒸によるウイルス対策
https://www.irodori-kanpou.com/irodorikanpoublog/20200226/2425/

基本処方は玉屏風散(ぎょくへいふうさん)

各省から様々な新型コロナ予防の処方が出ているのですが、多くの処方に共通している点として、この「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」という処方が基本的処方として使われています。

《湖北省の予防処方》
黄耆15g、炒白朮10g、防風10g 、貫衆6g、金銀花10g、陳皮6g 、澤蘭10g

《江西省の予防処方》
生黄耆12g、防風10g、白朮10g、金銀花10g、連翹10g、貫衆6g、佩澤蘭10g、陳皮10g、蒼朮10g、桔梗10g

《山東省の予防処方》
黄耆12g、炒白朮9g、防風6g、太子参12g、茯苓12g、陳皮6g、連翹9g、金銀花9g、蘇葉6g、炙甘草3g

《陝西省(せんせいしょう)の予防処方》
生黄耆15g、炒白朮10g、防風6g、炙百合30g、石斛10g、梨皮30g、桔梗10g、芦根30g、生甘草6g

(※参考サイトhttps://wemp.app/posts/1316bbd9-5268-454c-87df-f79b6b477994)

玉屏風散(ぎょくへいふうさん)とはどんな薬か?

玉屏風散は15世紀に書かれた『丹渓心法(医方類聚の説もあり)』に載せられていた方剤で、「黄耆(おうぎ)」、「白朮(びゃくじゅつ)」、「防風(ぼうふう)」の3種類の生薬で構成された漢方薬です。

それぞれの生薬は以下のような作用を持っています。

●黄耆:バリヤーとして体表の気(衛気)を補う
●白朮:胃腸の働きを良くし、気を補い黄耆を補助する
●防風:体表の邪気を追い払う

玉屏風散は衛気(えき)を高める!

漢方・中医学の考え方として、外からの攻撃(ウイルス・花粉など)を防御するのは”衛気(えき)”の役割として認識されています。

衛気とは文字通り”気”の一種で、衛気=防衛力、と見ればわかりやすいかもしれません。

つまり、衛気の機能が高まれば、ウイルスなどの外部からの攻撃に対して抵抗力を上げる(防衛力が高める)ことができ、結果として感染予防に繋がるという考え方です。

特に黄耆(おうぎ)という生薬はこの衛気を増やす作用が非常に優れているとされていて、この黄耆を白朮防風という2種類の生薬が補助することで、黄耆単独で服用に比べて、より衛気を強化する作用を強めています。

上記3種類の生薬が組み合わさることで、処方名のごとくまさに屏風(びょうぶ)のようにして外部からの敵の攻撃(細菌・ウイルス・花粉など)の侵入を防ぐことができるとされており、抵抗力(免疫力)の弱く風邪などを引きやすい体質の改善薬として使われてきました。

つまり玉屏風散は今回の新型コロナウイルスのような外部からの攻撃(感染)を防御するために作られた方剤なのです。

清熱解毒薬(板藍根)は抗ウイルス効果を期待されての配合

また、さきほど紹介した4つの省(湖北省・江西省・山東省・陝西省)から発表されている予防4処方には、玉屏風散に金銀花(きんぎんか)連翹(れんぎょう)貫衆(かんじゅう)などの清熱解毒薬が含まれています。

清熱解毒薬とは抗炎症作用のある生薬のことで、日本ではよく板藍根(ばんらんこん)という生薬が使われています。

板藍根をメインにした商品はインフルエンザの時期にもよく流行っているので、目にされたことのある方も多いかもしれませんね。

このような清熱解毒薬の中には実際に抗ウイルス効果を持つ生薬もあるため、玉屏風散のようなバリア機能を高める方剤に、いくつかの清熱解毒薬を補助として加えるのという方剤の組み方は非常に理にかなっていると言えるでしょう。

先程の黄耆が防御力とするならば、板藍根はまさに”攻撃力”を高める生薬、と考えればわかりやすいかもしれません。

※ちなみに以前のブログで紹介した「双黄連口服液」は、まさにこの清熱解毒薬からなる方剤です。
https://www.irodori-kanpou.com/irodorikanpoublog/20200203/2406/

板藍根(清熱解毒薬)は予防には必須ではない!

しかしながら、この清熱解毒薬は非常に味が苦く体を冷やす作用が強い(苦寒剤)ため、胃腸の弱い方には実はあまり適していません。

以前(2011年頃)上海留学時に担当教授から次のようなことを言われたことがあります。

「日本では感染症が流行った時は板藍根が飛ぶように売れる、と聞いたが非常に理解しがたい。日本人のように脾(胃腸)の弱い人が板藍根のような苦寒剤を症状もないのに単独で服用することは、よりいっそう脾(胃腸)を弱めてしまう。つまりより免疫力を下げてしまいより感染しやすくなるかもしれない。服用する時は必ず脾(胃腸)を補う漢方薬を併用するほうがよい。」
(※中医学では気の生成は脾(胃腸)で行うとされている)

要約すると、「胃腸の弱い方が感染もしていないのに板藍根を単独で服用することは、自らより感染しやすい体質をつくっているようなものである。」ということです。

感染予防には衛気(えき)を高めることが最も大切!

2009年に新型インフルエンザが流行った時、日本では抗ウイルス効果がある生薬として板藍根がフォーカスされ、この板藍根の入った漢方薬やお茶、アメなどが飛ぶように売れていました。

当時は私も「抗ウイルス効果があるのでいいんだろうなあ」という感じでした。

しかしながらよくよく考えてみると中医学の基本は「弁証論治(べんしょうろんち)」であり、あくまで”証(主訴から見たその時点での体の状態)”を見て判断しなければなりません。

ウイルスに感染していないのであれば清熱解毒薬(攻撃力を高める)が主薬にはなりえませんよね。

なんせ攻撃するウイルスは体内にまだいないのですから。

感染予防を主とするならば、やはり防御力を高めること(衛気を高める)が最も大切な対応になります。

まとめ

以上のように、中国において新型コロナウイルス感染前段階において、予防として最も適している処方は衛気(えき)を高める「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」をベースとした処方と考えることができます。

板藍根などの清熱解毒薬はあくまで補助であり、特に胃腸の弱い方の単独服用は余りおすすめできません。

どうしても服用したい方はなるべく胃腸を保護する漢方薬との併用がいいでしょう。

もちろん喉が痛い、少し発熱が有る、など熱(炎症)症状があれば板藍根は清熱剤ですので問題なく使用できますので、状態に応じて使い分けてください。

その他にも腎虚肺陰虚などの体質であれば他にも必要となってくる処方がありますので、漢方薬を服用希望する際はなるべく漢方・中医学に精通した専門家に相談してからの服用をオススメします。

いつ収束するかもわからないこの新型コロナウイルスですが、マスク・手洗い・うがい以外の予防策の一つとして、この漢方・中医学の知識を是非、ご活用ください。

新型コロナウイルスについてはまだブログにも載せていない情報もたくさんあります。
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