新型コロナウイルス

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新型コロナウイルス肺炎治療ガイドライン(第七版)翻訳(中医学的治療部分)

2020-04-01

2019年12月以来、中国の中国国民健康医療委員会(中国NHC)医政医管局より、新型コロナウイルスについてのガイドラインが逐次発表されておりますが、現在は3月3日に発表された「第七版改定」が最新となっています。
(※2020年4月1日時点)

こちらのガイドラインに関しては西洋医学的観点からの内容ほとんどですが、その中に一部ですが「中医学的治療」のガイドラインも設けられており、中医学・漢方薬が今回の新型コロナウイルスに対して何らか有効である可能性を示唆する内容となっています。

ガイドラインの全内容を紹介するのは量的にかなり難しいため、今回のブログでは、そのガイドラインの中の「中医学的治療」について私が翻訳した日本語で紹介して行きたいと思います。

※個人的な翻訳のため、内容の正誤についての責任は負いかねます。実際に治療などで利用されるという方は必ず原文をご確認ください。

原文をご覧になりたい方はこちらを参考に!↓↓↓
(※15pからが中医学的治療となっております)
●新型コロナウイルス肺炎治療ガイドライン(第七版)原文

新型コロナウイルスの中医学的治療

新型コロナウイルス感染症は、中医学における”疫”病のカテゴリーに属し、”疫戻”の気を受けることが病因とされており、病状や地域の気候特性及びそれぞれの体質などの状況に合わせ、下記の処方を参照し弁証論治を行う。

薬典の用量からの加減は医師の指導のもとで行うこととする。

1.医学観察期

【臨床表現1】:胃腸の不調を伴う全身倦怠感
推奨中成薬:藿香正気カプセル(丸、水、口服液)

【臨床表現2】:発熱を伴う全身倦怠感
推奨中成薬:金花清感顆粒、連花清瘟カプセル(顆粒)、疎風解毒カプセル(顆粒)

2.臨床治療期(確定診断病例)

2.1清肺排毒湯

【適応範囲】:多くの地域の医者の臨床と照らし合わせ、軽症、中等症、重症すべての時期において使用が可能であり、危険な重症例においても実際の状況に合わせて合理的に使用が可能である。

【基礎方剤】:麻黄9g、炙甘草6g、杏仁9g、生石膏15〜30g(先煎じ)、桂枝9g,沢瀉9g、猪苓9g、茯苓15g、柴胡16g、黄芩6g、姜半夏9g,生姜9g、紫苑9g、冬花9g、射干9g、細辛6g、山薬12g、枳実6g、陳皮6g,藿香9g

【服用方法】:煎じて服用、1日1剤、朝夕2回温めて服用(食後40分)、1クールは3日。

薬の服用後には毎回お茶漬けを茶碗半杯服用するようにし、舌の乾燥、体内の水分が少なくなっている者は茶碗1杯服用するほうがよい。(注:もし発熱ない場合は石膏の量を減らし、発熱が高熱の場合は石膏の量を増やしてもよい。もし症状が改善してもまだ回復してなければ2クール目の服用を開始し、もし患者に特殊な状況や基礎疾病がある場合は、第2クールは実際の状況に応じて処方を変更してもよい。症状がなくなれば服用は停止する。

【処方出典】:国家衛生健康委員会 国家中医薬管理局《新型コロナウイルス肺炎において”清肺排毒湯”を使用する中西医結合推奨に関する通知》(中国中医薬医政函[2020]22号)

2.2軽症型

(1)寒湿郁肺証

【臨床所見】:発熱、倦怠感、体のだるい痛み、咳、痰、胸が締め付けられるような感じ、悪心、嘔吐、大便粘性ですっきりしない。舌質は淡胖で歯型あり、または舌質淡紅で苔が白く厚い。脈は濡或いは滑。

【推奨処方】:生麻黄6g、生石膏15g、杏仁9g、羌活15g、葶藶子15g、貫衆9g,地竜15g、徐長卿15g、藿香15g,佩蘭9g、蒼朮15g、雲南茯苓45g、生白朮30g、焦三仙各9g、厚朴15g、焦檳榔9g、煨草果9g、生姜15g

【服用方法】:1日1剤、水600mlで煎じる。1日3回、朝昼夕食前服用。

(2)湿熱蘊肺証

【臨床所見】:低熱あるいは発熱なし、微悪寒、倦怠感、全身重だるい、筋肉痛、空咳痰少、咽頭痛、喉は渇くが水分は欲しない、また胸悶脘痛や汗、吐き気、下痢などを伴う。舌淡紅、苔白厚膩または薄黄、脈滑数或いは濡。

【推奨処方】:檳榔子10g、草果10g、厚朴10g、知母10g、黄芩10g、柴胡10g、赤芍10g、連翹15g、青蒿10g(後下)、蒼朮10g、大青葉10g、生甘草5g

【服用方法】:1日1剤、水400mlで煎じる。1日2回、朝夕食服用。

2.3普通型

(1)湿毒鬱肺証

【臨床所見】:発熱、咳(痰少)或いは黄痰、息苦しさと呼吸促迫、腹張、便秘。舌質暗紅、舌胖大、苔黄膩或いは黄燥、脈滑数或いは弦滑。

【推奨処方】:生麻黄6g、苦杏仁15g、生石膏30g、生薏苡仁30g、茅蒼朮10g、広藿香15g、青蒿草12g、虎杖20g、馬鞭草30g、干芦根30g、葶藶子15g、化橘紅15g、生甘草10g

【服用方法】:1日1剤、水400mlで煎じる。1日2回、朝夕食服用。

(2)寒湿阻肺証

【臨床所見】:微熱、体が熱くてしんどい或いは熱なし、空咳、痰少ない、倦怠感、胸悶、脘痞、或いは吐き気、軟便。舌質淡または淡紅、苔白または膩、脈は濡。

【推奨処方】:蒼朮15g、陳皮10g、厚朴10g、藿香10g、草果6g、生麻黄6g、羌活10g、生姜10g、檳榔10g

【服用方法】:1日1剤、水400mlで煎じる。1日2回、朝夕食服用。

2.4重症型

(1)疫毒閉肺証

【臨床所見】:発熱して顔が赤い、咳、痰黄粘少または痰の中に血が混じる、喘息、倦怠乏力、口乾苦粘、悪心して食べられない、大便不調、小便が赤い。舌紅、苔黄腻、脈滑数。

【推奨処方】:化湿敗毒方

【基礎方剤】:生麻黄6g、杏仁9g、生石膏15g、甘草3g、藿香10g(後下)、厚朴10g、蒼朮15g、草果10g、法半夏9g、茯苓15g、生大黄5g(後下)、生黄耆10g、葶藶子10g、赤芍10g

【服用方法】:毎日1〜2剤、水で煎じる、毎回100ml〜200ml、1日2〜4回口服または経鼻。

(2)気営両燔証

【臨床所見】:大熱煩渇、喘息、うわごとを言う、錯覚を見る、発斑、吐血、鼻血、或いは四肢痙攣。舌絳少苔或いは無苔、脈沈細数、或いは脈浮大して数。

【推奨処方】:生石膏30〜60g(先煎)、知母30g、生地黄30〜60g、水牛角30g(先煎)、赤芍30g、玄参30g、連翹15g、牡丹皮15g、黄連6g、竹葉12g、葶藶子15g、生甘草6g

【服用方法】:毎日1剤、水で煎じて服用、先に石膏、水牛角を煎じてから他の薬を入れる。1日2〜4回、1回100ml〜200ml、口服または経鼻

【推奨中成薬】:喜炎平注射液、血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳静注射液。効果の似ている薬物は個々の状態に合わせて選択する、または臨床症状に応じては2種類合わせて使用できる。中薬注射剤は煎じ薬と合わせて服用可。

2.5危篤重症型(内閉外脱証)

【臨床所見】:呼吸困難、ややもすれば人工呼吸器が必要な状態で昏睡を伴う、煩躁、汗出肢冷、舌質紫暗、苔厚膩または燥、脈浮大無根。

【推奨処方】:人参15g、黒順片(附子)10g(先煎)、山茱萸15g、以上を煎じたもので蘇合香丸安宮牛黄丸を服用する。

※人工呼吸器による換気で腹張便秘などを伴う場合は、生大黄5〜10gを用いることができる。人工呼吸器非同調が発生した場合は鎮静剤、筋弛緩剤を使用している状況下では生大黄5〜10g芒硝5〜10gを用いる。

《注:重症型と超重症型の中薬注射剤推奨用法》

中薬注射剤の使用は薬品添付文書に則り少量から開始し、逐次の弁証調節の原則、推奨用法は以下の通りである。

●ウイルス感染或いは合併した軽度の細菌感染:0.9%NaCl注射液250ml喜炎平注射液100mg bid、或いは0.9%NaCl注射液250ml熱毒寧注射液20ml、或いは0.9%NaCl注射液250ml痰熱清注射液40ml bidを加える。

●意識障害を伴う高熱:0.9%NaCl注射液250ml醒脳静注射液20mlbidを加える

●全身炎症反応症候と多臓器不全:0.9%NaCl注射液250ml血必浄注射液100mlbid加える。

●免疫抑制:ブドウ糖注射液250ml参麦注射液100ml或いは生脈注射液20〜60mlbidを加える

2.6回復期

(1)肺脾気虚証

【臨床所見】:呼吸短い、倦怠無力、食欲なく吐き気、腹部痞満、大便無力、水様便で不快。舌淡胖大、苔白膩。

【推奨処方】:法半夏9g、陳皮10g、党参15g、炙黄耆30g、炒白朮10g、茯苓15g、藿香10g、砂仁6g(後下)、甘草6g

【服用方法】:1日1剤、水400mlで煎じる。1日2回、朝夕食服用。

(2)気陰両虚証

【臨床所見】:無力、呼吸浅い、口乾、口渇、動悸、多汗、食欲不振、低熱或いは熱なし、乾燥咳少痰。舌乾少津、脈細或いは無力。

【推奨処方】:南沙参10g、北沙参10g、麦門冬15g、西洋人参6g、五味子6g、生石膏15g、淡竹葉10g、桑葉10g、芦根15g、丹参15g、生甘草6g

【服用方法】:1日1剤、水400mlで煎じる。1日2回、朝夕食服用。

まとめ

以上、最新の「新型コロナウイルス肺炎治療ガイドライン(第七版)」における中医学的分野について自分なりに翻訳してみました。

第六版からは中医学に関してはほとんど変更はなく、「2.5超重篤型」の人工呼吸器使用時の便秘についての生大黄の使用推奨のみ追加となっていましたが、今後はどのような追加、変更があるのかは注目です。

中医学的治療の特徴としては「治療期」のみならず「回復期」までも対策が練られていることでしょうか。

TVなどでお聞きしたことも有るかと思いますが、この新型コロナウイルスでは一度検査で陰性になってもまた陽性化する例があります。

このような例に対して中医学の回復期のように、完全に治るまで対策をする、というのも一つの方法かもしれませんね。

毎日のように新型コロナウイルスの情報がTVで流れているにもかかわらず、漢方や中医学などのの伝統医学についての声というのは残念ながらほとんど聞いたことがありません

エビデンスに乏しいといえばそれまでですが、今後も未知のウイルス感染が発生することはほぼ確実にあるかと思います。

もし次にこの新型コロナのような未知のウイルスによる感染が広まった場合、またワクチン・治療薬ができるまで同じことを繰り返すのでしょうか?

こんな時こそ中医学のもつ「未病先防」を活かした「予防の可能性」についての研究が進むことを強く望みます。

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