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胚盤胞移植における着床率を高めるために必要な3つの条件とは?

2024-03-02

※2024年3月1日一部改定

着床というのは、妊娠成功の過程において乗り越えなければいけない最後の難所です。

この着床において、最も重要な部位(組織)は当然ながら受精卵を受け入れる「子宮内膜」ということになりますが、西洋医学ではこの「子宮内膜」についての研究がどんどん進んで来ています。

特に最近ではERA・EMMA・ALICEという着床の検査が非常に注目されてきていますので、不妊治療を受けている方の中には既にご存知の方も多いのではないでしょうか。

一方で、これらの検査をすでに受けて異常なしと確認されたにもかかわらず、ある程度のグレードの受精卵を何度か移植するもなかなか着床にまで至らない、というケースを少なからずお聞きしします。

このような場合、西洋医学的には何も原因が見つからないので、やれることはひたすら採卵、移植を繰り返すというという治療になることがほとんどですが、当然ながら成功率は上がらず、延々と精神とお金をすり減らして行くことになりかねません。

しかしながら、中医学(漢方)の理論を用いて西洋医学とはまた違う視点から見ていくと、解決となるヒントが見つかることがあります。

中医学(漢方)における着床に必要な3つの条件

具体的には子宮内膜を3つの視点(①子宮内膜の厚さ②子宮内膜の硬さ③子宮内膜の感受性)から見ていきます。

具体的に1つ1つ見ていきましょう。

1.子宮内膜の厚さ

中医学においても、やはり子宮内膜の厚さがある程度必要というのは西洋医学と同様の考え方です。

一般的には10mm以上を目標とし、移植を行う場合は最低でも7mmは必要となります。

内膜の厚さは経血量と関係があるため、月経時の経血の量を見ることで厚い、薄いが判断できますが、現在ではエコーで測定ができるため、エコーでの数値が最も重要視されます。

しかしながら、エコーである程度の厚さがあっても実際の経血量が少ない場合は注意が必要です。

内膜に厚さはあるのに経血量が少ない場合、中医学では

●気血両虚(きけつりょうきょ)
●肝血虚(かんけっきょ)
●心血虚(しんけっきょ)
●腎精不足(じんせいふそく)
●腎陽虚(じんようきょ)
●腎陰虚(じんいんきょ)

など本来必要な気血精が不足している状態と考えます。

子宮内膜の厚さについては以前のブログでもまとめてありますので、合わせて御覧ください。

●妊娠するために理想的な子宮内膜の厚さとは?
https://www.irodori-kanpou.com/irodorikanpoublog/20181128/1620/

●漢方で子宮内膜を厚くするための方法とは?〜血液の量と流れ〜
https://www.irodori-kanpou.com/irodorikanpoublog/20181202/1654/

 

2.内膜の硬さ

西洋医学においては子宮内膜の厚さを最も重要視しますが、中医学では子宮内膜の”硬さ”というものをとても重視しています

あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、事実、子宮内膜の硬さを数値化できる指標というのは現在の医学においてもまだ存在しないため、この考え方は中医学独自のものと言えるでしょう。

結論を言うと、子宮内膜が硬い状態というのは中医学では瘀血(おけつ)が少なからず関与しているとされています。

つまり瘀血(おけつ)と診断できれば、イコール子宮内膜が硬い可能性があるというふうに考えてほぼ間違いありません。

ではどのように自身が瘀血(おけつ)であるかどうかを判断するのか?

これは毎周期の月経時の経血の状態で判断します。

具体的には経血の粘度月経痛の有無、他には経血の色や血塊の有無などから判断していくのですが、まとめると以下のようになります。

●月経痛:激痛で月経初日など序盤に痛みが強い。
●血塊の有無:暗い紫色の塊が出る。
●経血の量:多い(少ない場合もある)。
●経血の色:暗い赤色。
●月経時以外の痛み:排卵痛・性交痛・排便痛がある。
●病歴:子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症・卵巣嚢腫・骨盤内の癒着・手術歴あり。

これらが当てはまるものが多ければ多いほど瘀血の状態は悪化している、つまり子宮内膜の硬さも悪化していると考えていいかと思います。

また、月経の始まりが経血ではなく血の混ざった帯下から始まるという方が時々おられますが、これも瘀血の判断材料の一つとなります。

月経開始後、半日以内で経血に変化すれば問題ないですが、それ以上の期間帯下状のものが続く場合は子宮内膜が硬いと考えたほうがいいでしょう。

 

3.子宮内膜の感受性

この子宮内膜の感受性という概念も西洋医学ではまだ浸透していない概念で、中医学独自の考え方になります。

体外受精−胚移植において、ある程度のグレードのよい良好胚で、内膜も10mm以上と比較的好条件で移植を行うも全く反応しない場合があるのですが、こういう状態が繰り返される場合を、子宮内膜の感受性が低下している状態(子宮内膜感受性低下症)であると中医学では定義しています。

この子宮内膜の感受性低下の原因について、中医学では腎虚血瘀(じんきょけつお)であると多くの中国の中医師が認めており、実際の臨床でも「腎虚血瘀」で対応すれば改善できることが多いです。

また北京中医薬大学の肖承悰教授は「腎虚血瘀」「心血不足(しんけつふそく)」を伴ったものが原因であるとし、独自の処方である「二補助育湯(にほじょいくとう)」を使って子宮内膜感受性低下症の治療で大きな効果を上げています。

「二補助育湯」の主な薬物組成は以下のとおりです。

●骨砕補(こつさいほ)
●補骨脂(ほこつし)
●葛根(かっこん)
●升麻(しょうま)
●巴戟天(はげきてん)
●桑寄生(そうきせい)
●続断(ぞくだん)
●牛膝(ごしつ)
●何首烏(かしゅう)
●鶏血藤(けいけっとう)
●鬱金(うこん)

処方名にある「二補」骨砕補補骨脂のことで、そのほかの補腎薬(巴戟天・続断・桑寄生・牛膝)や活血薬(鶏血藤)などを組み合わせることで腎虚血瘀に対応できる方剤となっています。

まとめ

以上のように、なかなか着床しない原因を中医学では3つの視点から解決していきます。

「着床の窓のずれ(ERA)「子宮内膜炎(ALICE)」「子宮内の細菌の種類と量(EMMA)」など西洋医学でも次々と子宮内膜についての研究が進んでいますが、これらが全て正常でも着床しない方が少なからずおられることは事実です。

このような場合、着床するまでひたすら採卵・移植を繰り返すのではなく、「中医学」という西洋医学とはまた違った視点から病態を考えることも選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか?

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