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小児喘息が漢方で改善した症例その2
前回に引き続き、漢方治療による小児喘息の改善症例です。
今回の症例に関しても、複雑な処方ではなく、半夏厚朴湯のみという非常にシンプルな処方でしたが、切れ味は抜群でした。
大人の場合は症状が複雑化するため、エキス剤でも数処方を組み合わせることが多いのですが、子供の場合は症状が複雑化する前段階のことが多くこのようなシンプルな処方でも効果が出ているのかもしれないですね。
相談内容
生後3か月のときに風邪をひき、咳だけがなかなか改善しなかったが、その後自然に回復。その後も風邪をひくごとに咳は長引く傾向にあったが、小青竜湯で改善した経歴あり。
1歳6か月齢で風邪のあと喘息発作、肺炎を発症。
小児科に通うも改善なく市立芦屋病院に緊急入院となり、酸素吸入、ステロイド、抗生剤の静脈投与、静脈点滴で症状は軽快し喘鳴は残るが無事に退院した。
発作の程度としては中発作から大発作の間で危険な状態であったとのこと。
喘息の特徴としては、風邪が引き金になるタイプであるとのこと、そしてアトピー体質もその要因とのことであった。
その頃よりモンテルカストを使用していたが、数か月後に風邪をひき喘鳴。
呼吸状態も努力性の呼吸で運動時、夜間に咳き込むと嘔吐する状態であった。
小児科に通いネブライザーを使用すると少し楽にはなるが喘鳴は続いていたため、ステロイド吸入も追加。
ステロイド吸入でも症状の改善を認めないため、以前効果のあった小青竜湯を使用するも、少し改善傾向は見られるが前回のような顕著な改善はなし。
漢方処方
喉周辺で喘鳴音が強くなるということから、半夏厚朴湯を使用。
そうしたところ、一度の内服で喘鳴音、咳が顕著に減少したとのこと。
その後2週間ほど使用し、症状も安定したため、体を強くする目的で半夏厚朴湯から補剤に変更を考える。
当初、柴朴湯を考えたが、柴朴湯に含まれる小柴胡湯の半夏などの燥性の生薬が増えることによるアトピーの悪化(乾燥がきつくなる)が考えられるため、それを避ける目的で補中益気湯を使用。
その後暫くの間は喘鳴音、咳は出なかったが、だんだん補中益気湯でもアトピーが悪化してきたとのことで一度漢方の服用をすべてストップした。
服用中止後は数日でアトピーの改善を認めた。
補剤は同じ補気剤に分類する六君子湯へ変更。
その後は皮膚、咳、喘鳴など諸々うまくコントロールできている状態が続いている。
まとめ
喘息に限らず、小児の疾患の場合、大人のようにしっかりとした弁証論治ができないことが多々あります。
このような場合は、病名とある程度主訴となる症状から推測できる日本漢方の考え方を知っておくと、非常に役に立ちます。
日本漢方にも色々と流派はあるかと思いますが、私は山本巌先生の山本流漢方で対応することが多いです。
喘息には西洋医学よりも漢方が著効したと実感した症例でした。
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