妊活
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子宮内膜症が漢方薬で改善した症例 〜名医の治験例①〜
この記事はこんな方にオススメです。
- ①子宮内膜症と診断された方。
②子宮内膜症で月経痛がひどい方。
③なるべくホルモン剤や痛み止めを使いたくない方。
④不妊治療を中止せずに子宮内膜症の治療をしたい方。
⑤冷え性があり生理にレバー状の塊が混じっている方。
子宮内膜症とは
彩り漢方薬局には不妊症の患者さんが多く来局されていますが、月に何人かは子宮内膜症の治療を行いながら妊娠を希望される患者様が来られます。
子宮内膜症は、子宮内膜と似た組織が卵巣や直腸など子宮以外の臓器の表面で発育する疾患で、エストロゲンによって増殖・進行する疾患です。
なぜ子宮以外の組織で増殖するのかはまだはっきりと分かっていませんが、重度の月経痛や出血過多を伴い、さらに子宮内膜症患者の約50%の方が不妊を合併すると言われ、西洋医学的に原因不明不妊とされる方には高確率でこの子宮内膜症が原因となっているのではと言われているやっかいな疾患です。
西洋医学的治療の問題点
軽症の場合は鎮痛剤などの服用で済みますが、重症の場合にはエストロゲンを人為的に抑制するホルモン剤が必要になります。
治療期間は約6ヶ月程度とされています。
エストロゲンは女性ホルモンの一種で卵胞ホルモンとも呼ばれますが、卵胞の成長を促したり、受精卵が着床するために必要な子宮内膜を厚くする作用があり、妊娠するためには必要不可欠なホルモンです。
このエストロゲンを抑制するということは当然ながら妊娠できる可能性は格段に下がってしまいます。
まだ20代の若い方であれば半年くらいの期間、不妊治療を中断しても多くは問題とならないでしょう。
しかし、これが40代の方の場合となると、妊娠可能な時間というのはかなり限られてきます。
フランスでは43歳以上の不妊はすでに病気ではなく自然の摂理とされています。
もちろん43歳以上で妊娠できないわけではありませんが、この半年という期間は妊娠を希望される方にとって、致命傷となることも十分に考えられます。
このような方にとって漢方薬は非常に有効となる可能性があります。
漢方薬のメリット
- ①不妊治療を中断せずに子宮内膜症の治療が行える。
②ホルモン剤のような副作用が少い。
漢方薬の一番のメリットは、不妊治療を中断することなく子宮内膜症の治療が行えることです。
中国では子宮内膜症を”痛経”などとして2000年前から病気として認識し、治療行い、結果を出してきました。
「桂枝茯苓丸」という日本ではよく使用される有名な方剤も約1800年前から使用されています。
現在でも中国や日本では多くの中医師が漢方薬を用いて子宮内膜症の治療を行っています。
名医の治療例
では実際に漢方でどのような治療を行っているのでしょうか?
ここでは婦人科における中国の名老中医の1人である「郭志強」教授の1例を紹介したいと思います。(原文は中国語のため、秋山の方で訳したものとなりますのでご了承下さい。)
専門的な内容になりますので、詳しく知りたい方は薬局の方までご連絡下さい。
0798ー73ー7251
子宮内膜症 原発性不妊
高橋某、女性32歳、日本横浜出身。初診1991年11月10日
月経時の腹痛が10年、この3年さらにひどくなった。
月経周期は30日で、月経期は6日(出血している日数)、初潮は13歳の時。生理にはレバー状の血の塊があり、色は暗い。10年ほど前から月経時の腹痛がひどくなりここ3年でさらに重症化。前回の生理は10月14日で、生理前に胸が張った痛みあり、またお腹が冷たく痛みは強烈で、温めると少し痛み楽になる、痛みひどいときは冷や汗が出る。舌は暗く両端には紫色の瘀点がある、脈は細弦。日本で多くの医者にかかったが診断は子宮内膜症だった。結婚して2年、まだ子供はできていない。
【弁証】寒凝血瘀
【治法】温経活血、化瘀消癥
【方薬】少腹逐瘀湯(《医林改錯》)加減:肉桂、没薬、黒附子各6g、乾姜、小茴香、蘇木、水蛭各5g、三稜、莪朮、烏薬各8g、当帰、生山査各10g
月経開始1日前から服用開始。
服用当月、月経時の腹痛が明らかに軽減し、3ヶ月服用後には痛みほぼ消失した。妊娠を希望されているので治法を温経養血、暖宮助孕へ変更。処方を熟地黄、当帰、紫石英、枸杞子各10g、党参、莵絲子、何首烏各8g、炙黄耆20g、淫羊霍、鎖陽各6g、山薬、巴戟天各5gへ。
半年後に妊娠し、翌年1993年5月3日、無事男の子を出産した。
《郭志強 ”不孕不育治験録” p107,験案36:子宮内膜症、原発性不妊》
彩り漢方薬局ではこう考えます。
1.瘀血の存在
レバー状の血塊、色は暗い、激しい痛み、舌質は暗く瘀血点あり、10年以上という慢性化、以上の点から”瘀血”は確実にあり。
2.瘀血の質
お腹が冷たい、温めると少し楽になるというところから、冷えによって起こっている、もしくは瘀血によって冷えが起こっている。どちらにしろこの瘀血を改善するには温めながら活血化瘀する必要がある。また生理前に胸が張った痛みがあることから肝鬱気滞もあり。
※瘀血は熱によっても起こります。また外傷、気虚、痰濁など様々な要因によっても起こるため、同じ?血でも原因が異なれば使用する生薬は異なってきます。
3.治療のやり方
郭先生は肉桂・附子・乾姜・小茴香・当帰などで気血を温めながら、水蛭・三稜・莪朮・蘇木・没薬などで瘀血を取る、温経活血、化瘀消腫の治療法を用いています。
当薬局で同じような治療を行う場合は、理気活血剤である「血府逐瘀湯」をベースとし、水蛭やシャ虫など虫類を使った強力な活血作用(破血)のある商品や、田三七という活血しつつ止血もできる優れた生薬製剤を加えるなどで代用します。
月経痛が激しい場合は延胡索という鎮痛作用の優れた生薬を含む「折衝飲」を、または乳香・没薬という活血止痛の生薬なども加えてもいいかもしれません。
またこの患者さんもそうですが、体質的に腎陽虚の方は身体の内外から冷えを受けやすいため、体質改善として、附子、肉桂の入った八味地黄丸など、可能であれば鹿茸や紫河車、肉蓯蓉や莵絲子などより強力な補腎薬を併用しておくさらに効果的です。
芎帰調血飲第一加減加鼈甲
ちなみに日本の有名な漢方医である山本巌先生は「芎帰調血飲第一加減加鼈甲」を子宮内膜症の基本方剤として挙げられています。
「芎帰調血飲第一加減」は散寒理気活血しながら補気健脾補血もできる非常にバランスのとれた便利な方剤です。
そこに軟堅散結作用のある鼈甲を加えることで骨盤内癒着に対応しています。
鼈甲エキスは某メーカより単味エキス剤として販売されています。
欠点としては方剤全体の生薬数がかなり多く、一味一味の量が少ないためやや長期の服用になってしまう可能性があるところでしょうか。
しかしながらそれを含めても非常に有効な方剤には変わりないので、弁証が苦手な方はまずこちらを試されてもいいと思います。
まとめ
子宮内膜症は激しい月経痛を伴い、約半数の方が不妊で悩むことになる非常に厄介な疾患です。原因もまだはっきりは解明されていません。
しかしながら、もし西洋医学的治療で良い結果が出ない場合でも、漢方薬を試すことで改善の道が開けるかもしれません。
子宮内膜症でお悩みの方は、是非、彩り漢方薬局までご連絡下さい。必ずお役に立てると約束いたします。
0798ー73ー7251
※以下のページも是非、参考にして下さい。
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