不妊症について
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不妊症の現状
不妊症について詳しくご存知でしょうか?

不妊治療をすでにはじめている方、まだ何もされていない方、
どのくらい不妊症&不妊治療についてご存じですか?
「まだ35歳だからそんなに焦らなくても大丈夫よね?」
「芸能人の人とかは40歳超えても妊娠してるしね!」
と楽観視されている方もいれば
「もう2年も子供ができない。なんで…。
「体外受精すれば絶対に赤ちゃんができると思ってた…。」
と悲観的な方もおられます。
どうしてこのような違いが見られるのでしょうか?
その理由の一つとして考えられることはやはり“不妊症”についての知識や 理解が十分ではないことが考えられます。
- ・不妊症ってなに?
- ・不妊症ってどのくらいの確率でおこるの?
- ・不妊になる原因は?
- ・どんな治療法があるの?
- ・どのくらいお金がかかるの?
- ・日頃からどんなことに気をつければいいの?
妊娠への夢をかなえるため、そして“ママになる”、“パパになる”ためには、上記のような内容はある程度知っておいたほうが、今後の治療やクリニック選びの際にきっと役に立ちます。今一度、不妊症そして不妊治療の現状について振り返ってみましょう。
不妊症とは?
不妊症の定義
日本では、日本産婦人科学会が不妊症の定義を「子供がほしいと願う夫婦が避妊をしないで1年以上子づくりを続けるも、妊娠できないでいる状態を不妊症とする」と定義しています。以前は2年以上となっていましたが、年齢が高まることで起こる生殖機能や卵子の質の低下を考慮して、早めに治療を開始することで少しでも妊娠の可能性を上げようという考えから1年に変更になったようです。
また一般的には避妊をせずに夫婦生活を続けると、1年後には80%、2年後には90%のカップルで妊娠が成立すると言われているため、やはり1年たっても妊娠しない場合は早めに婦人科などを受診したほうがいいでしょう。
しかしながら年齢が38歳を超えている場合は半年くらいでも受診を勧める場合もあります。また35歳未満でも、月経不順があったりクラミジア感染したことある人なども1年ではなく半年程度で受診するほうがいいでしょう。
不妊症になる確率
以前は夫婦の10組に1組と言われていましたが、最近では6~7組に1組ともいわれています。不妊治療を受けている患者は1999年に284,800人でしたが、2003年には466,900人と4年で約1.6倍にもなっています。現在では治療を行っていない人たちも含めると100万組以上のカップルが不妊に悩んでいるといわれています。
また一般的には避妊をせずに夫婦生活を続けると、1年後には80%、2年後には90%のカップルで妊娠が成立すると言われているため、やはり1年たっても妊娠しない場合は早めに婦人科などを受診したほうがいいでしょう。
不妊症の原因

かつては不妊の原因はほとんどが女性の問題という風潮がありましたが、現在ではWHO(世界保険機関)の調査によると女性側のみに原因がある割合は41%、一方で男性のみに原因がある場合は24%、男女双方に原因があるケースが24%、原因不明が11%とされており、少なくとも48%は男性側にも何らかの原因があるとされています。
よって奥さまが検査で何も以上がないのになかなか妊娠できない場合はご主人のほうにも問題がある可能性を考えるべきでしょう。
女性の不妊原因
1.排卵の問題
排卵障害とは排卵が起こらない、あるいは排卵が遅い状態のことをいいます。女性の側に原因のある不妊の約40%を占めると言われています。排卵障害になる主な原因は以下の様な原因が考えられます。
- ・視床下部や脳下垂体性の排卵障害
- 視床下部や脳下垂体に原因があり、卵胞を育てるFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)の分泌が低下するため、排卵しにくくなります。ダイエットによる過剰な体重減少による月経不順などもこのタイプになります。
- ・高プロラクチン血症
- 乳汁を分泌するプロラクチンというホルモンの値が高くなると、排卵が起こりにくくなります。プロラクチンとは産後の授乳のために出るホルモンで、授乳中に次の妊娠が起こらないように排卵を抑制させる働きがあるためです。原因としては脳下垂体腫瘍、甲状腺機能低下症などがありますが、それ以外にも胃潰瘍や精神科の薬剤を服用した時の副作用として高プロラクチン血症となることがあります。
- ・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 左右の卵巣に小さな嚢胞がたくさんできて、なかなか排卵できなる病気です。本来はいくつかの卵胞が成長し、その中で1つだけ、主席卵胞と呼ばれる卵胞が2?2.5センチほどの大きさに成長した時、卵子が排卵されるのですが、PCOSの場合、卵胞がたくさん育ってしまい1つ1つが未熟なままなので排卵されずに卵巣の中に溜まってしまうのです。特徴として血中LHの値が、血中FSHより高くなり、男性ホルモンである血中テストステロン値が高くなります。また原因はまだはっきりしていませんが、インスリン代謝異常と密接な関係があるとされています。
- ・早発卵巣機能不全
- 卵巣の中の卵子が40歳よりも前にほとんどなくなってしまうため、排卵ができない状態になります。排卵すべき卵子がなくなっているため排卵を起こすのは非常に難しくなります。特徴として血中FSHが高い値となり、AMH(抗ミュラー管ホルモン)は0に近くなります。
※絶対に妊娠出来にというわけではありません。AMHがほぼ0でも妊娠することもあります。
2.卵管の問題
卵管は卵巣と子宮をつなぐパイプのような役割をする器官です。この卵管の途中がとても狭くなっていたり(卵管狭窄)、閉塞する(卵管閉塞)と卵子や精子が卵管をうまく通過することができないため、受精ができず妊娠が困難となります。また卵管采の周囲が癒着すると卵巣から出た卵子をうまくキャッチすることができずやはり妊娠できません。(ピックアップ障害)。原因は主に次のようなものが考えられます。
- ①クラミジアなどの感染による卵管炎や腹膜炎
- ②子宮内膜症による癒着
- ③腹腔内の手術による卵管周囲の癒着
3.着床の問題
着床に原因があって妊娠しない場合、原因は大きく分けて2つあります。
- ・器質的な着床障害
- 子宮内に子宮筋腫が突き出している場合(子宮粘膜下筋腫)や子宮内膜にポリープができていると、その場所や大きさによっては着床しにくくなることがあります。また子宮の奇形(重複子宮、双角子宮など)先天的な子宮奇形がある場合は着床が困難となる場合があります。
- ・ホルモンの問題による着床障害
- 卵胞ホルモンによって厚くなった子宮内膜は、黄体ホルモンの作用により着床しやすい状態となります。この黄体ホルモンが十分に分泌されない場合、着床がうまくいかないことがあります。(黄体機能不全)
4.年齢の問題
最近不妊の原因として多く挙げられているのが“卵子の老化”の問題です。特に卵子の“質”の低下が問題となります。AMHなどで卵子の残りの数などはある程度予測できるようになりましたが、“質”を見分ける指標は今のところありません。唯一の指標として最も大事なのは“年齢”です。人間の体内では呼吸をし、生きているだけでも細胞のサビや酸化といった、いわゆる“酸化ストレス”が発生し、卵子もダメージを受けています。当然年齢が高くなればなるほど受けるダメージは蓄積されていき、傷だらけの卵子になってしまいます。
男性の不妊原因
1.造精機能の問題
精子を作り出す機能がうまく働かず、精液中の精子がとても少ない(乏精子症)場合や、精子がない(無精子症)状態になるケースがあります。原因は実際はわからないことが大半ですが、以下の様な原因が挙げられています。
- ①耳下腺炎性精巣炎:おたふくかぜによる精巣炎
- ②精索静脈瘤:陰嚢の周りの血管が拡張して精巣の温度が上がり、造精機能が障害されている状態。
- ③染色体異常、遺伝子異常:クラインフェルター症候群など
- ④脳下垂体異常:低ゴナドトロピン性性腺機能低下症など
2.精路の問題
精子を運ぶ精管が部分的に欠けていたり、狭くなっていて詰まっていたりすると精子が通過できずに無精子症や乏精子症になります。原因としては精巣上体の炎症による精管の閉塞や、生まれながらに精管がない精管欠損、鼠径ヘルニアの手術のときに間違って精管を縛られてしまった場合などがあります。また射精後、精液が尿道側に射出されず、膀胱に逆行してしまう逆行性射精もあります。
3.副性器の問題
精嚢や前立腺炎などが原因で精液中に白血球が増えたり、精子の運動率が下がることがあります。
4.性機能の問題
性機能の問題にはセックス時に勃起しない(インポテンツ)、または勃起が維持できない勃起不全があり、勃起はするが膣内で射精できないこともあります。心因性と器質性(糖尿病や下半身不随、動脈硬化、高血圧など)があり、これらがあわさっているケースも有ります。
以上が男性、女性それぞれの不妊の主な原因となりますが、上記以外にも女性では頚管粘液の異常(酸性度が高い、粘液の量が少ないなど)や抗精子抗体がある場合なども不妊の原因となります。また原因そのものがわからない場合も11%あり、その際の治療法は現在ではまだ確立されていません。